言論NPOの私達にとって重要な活動 - 世界の現状をどう感じているのか有識者にアンケートを実施

言論NPOによって実施されたアンケート結果を報告


3月4日、G7参加国のアメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・カナダのほか、ブラジル・インドネシア・インドの合わせて10ヶ国のシンクタンク代表と東京会議を行った。
この会議では国際秩序や民主主義のこれからを議論し、議論の結果を日本政府やG7議長国のイタリア政府に提案した。
その会議では、先駆けて行われた言論NPOによるアンケート調査結果も公表された。
今回はそのアンケート調査結果をご紹介していこう。

アンケートの回答者について


・総回答数:281名
・男性:86.9%
・女性:13.1%
・年齢
10代から20代:6.8%
30代:11.4%
40代:10.0%
50代:21.7%
60代:26.0%
70代から80代以上:24.2%
・職業
会社経営者・幹部、メディア関係者のほか、公務員やNPO関係者、学者、研究者、学生など様々な職種の人から回答を得た。

アンケート:ドナルド・トランプ大統領についての評価


ドナルド・トランプ大統領が就任し、アメリカだけではなく日本にも様々な影響があった。
トランプ大統領の行動や発言に関しても、度々ニュースで取り上げられ問題にもなっている。
そのことを踏まえ、トランプ大統領についての評価をアンケート調査したところ、以下のような結果となった。

・アメリカの現状を考えた適切な行動で評価できる:5%
・アメリカ国内外に不安を与える行動もあり評価できない:24.6%
・不安を高める危険な行為だ:34.5%
・選挙時の発言を実行に移すとは考えられず評価困難:27.4%
・よくわからない:0.4%
・そのほかの回答:8.2%

評価している人は5%と少なく、トランプ大統領の行動や発言は危険と判断している回答者が多いことがわかった。
北朝鮮問題では、武力行使に及ぶような発言を繰り返したりすることで過激な発言も多いことから、評価が下がったのだと推測できる。

アンケート:世界で起こる出来事の心配対象とは


トランプ大統領就任だけではなく、世界では様々な出来事が発生している。
英国のEU離脱や難民問題、貧困など様々な問題や変化があり心配になることも多いだろう。
そこで、世界状況の中でも心配していることは何かアンケート称さしたところ、以下の結果となった。

・保護主義や二国間交渉が強まり、戦後世界を支えた自由貿易や経済協力の仕組みが崩れていること:60.9%
・民主主義ではなくポピュリズムや権威主義が強まりつつあること:60.1%
・課題解決に向けたリーダーシップを持って取り組む国が少ないこと:60.1%
・国際社会の断層が深まりつつあること:54.1%
・合意してきた気候変動や難民に対する行動が立ち消えそうになっていること:42.7%
・自由、民主主義を主張するリーダーが世界でも不在であること:31.7%
・巨大国家間の交渉だけで世界の秩序が形成される可能性があること:18.2%
・心配はない:1.4%
・そのほかの回答:9.3%

戦後から世界を支え続けた自由貿易が崩れかけていることで、経済にも影響があるのではないかと不安を感じる国民が多いのであろう。

アンケート:グローバリゼーション、国家、民主主義について


自由と民主主義が危機に陥っている背景には、グローバリゼーション、国家、民主主義がぶつかり始めていることがあると言われている。
そのことを受け、何を優先すべきであると考えているかアンケート調査を行った。

・バランスを取って進めていく:28.1%
・グローバリゼーション、民主主義を優先:26.0%
・民主主義と国家を優先:21.0%
・グローバリゼーションと国家を優先:5.3%
・わからない:5.7%
・そのほかの回答:13.9%

グローバリゼーションと国家、そして民主主義の3つをバランスよく実現することは難しいとされながらも、バランスを取って進めていくことが望ましいと考えている国民が多いことがわかった。

アンケート:民主主義の現状について


日本やアジアだけではなく世界中で民主主義が危機に陥っているとニュースでも取り上げられているが、国民は世界の民主主義の現状についてどう感じているのかアンケート調査を行った。

・民主主義を機能させるための努力を怠ったツケが現状である:48.8%
・民主主義が信頼を失いかけ、不安や怒りが知識層やメディアに向けられている:30.6%
・世界で起こっている問題の結果は民主主義が機能しているから受け入れるべきである:7.8%
・民主主義が壊れ始めている状態で権威主義化し始めている状態である:6.1%
・よくわからない:0.4%
・そのほかの回答:6.4%

民主主義を機能させるための努力が足りなかったことで招いた結果であると判断している国民が多いことがわかった。

だが、国際政治が不安定になっている状態の現代でも、9割を超える回答者が民主主義を発展させていくべきであり必要であるとも回答している。
そのためにも、国民が現状の問題についてきちんと理解して向き合うことが必要なのであろう。
それとともに、政治やメディア関係者も課題に向かって立ち向かう努力を強めていくことが望まれる。