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リベラルな秩序の未来を守るためには各国の政策選択が重要


東京会議の公開セッションを前に、3月3日各国間の非公式会議が行われた。
最初に発言したジェームズ・リンゼイ氏は、トランプ氏の大統領選勝利の要因を、アメリカの繁栄に取り残された人々の不安を上手くすくい上げたことだ分析している。
国際関係を「ディール」の視点で見るトランプ大統領の登場に関して、「アメリカの自由と民主主義を基調とするリベラルな世界秩序を弱体化させるのだろうか」との懸念を示した。
その一方で、アメリカ政府内部、議会では「既存の秩序を復興すべき」と考える人が多く、トランプ大統領の発言のチェック、修正をしようとする動きが見られる。
アメリカがこのまま既存の秩序の担い手から撤退するかどうかは分からない状況だ。
リンゼイ氏は、アメリカ以外の国々がリベラルな価値や規範の重要さを再認識し、守っていくことがリベラルな秩序の未来のために重要だとした。

ポピュリストの台頭が起こった背景


バーバラ・リパート氏は、「移民、難民とヨーロッパにおけるカオス」をテーマに報告を行った。
まず、2015年の夏に中東から難民の大量移入が起こったことが欧州の大きな転換点になったと分析。
難民の対応を巡って欧州内の意見は分裂し、シェンゲン協定、EUの政治的結束、安全保障問題などに影響が及んだ。
また、当初は難民受け入れに積極だったドイツも、「オープンな抑止」というスタンスに転換してきている。
しかし、欧州の市民はこれを政府の対応が失敗したと見做しているとの解説がなされた。
課題を解決できなかったエリートに対する反発の高まりが、反リベラルの勢力拡大、極右政党の台頭につながったと見られる。

グローバルな課題を解決するためにはマルチテラリズムが不可欠


カナダのロヒントン・メドーラ氏は、トランプ大統領の誕生以前からグローバルな問題の萌芽があったと指摘した。
具体例として、生産拠点の拡大多様化によって、人件費が安い新興国の労働者が、スキルがなく人件費の高い先進国の労働者を追い落として進出したものの、スキルを高めるための教育が不十分だったことを挙げられる。
これらの政府の対応失敗が、グローバル化に対する不満の原因になっていると分析した。
現在では単なるものづくりよりもアイディアが価値を生み出す構造になっており、スキルのない先進国の労働者は取り残されてしまう。
その結果、WTOに対して先進国が消極的、新興国が積極的な姿勢になるなど、国際経済秩序が真逆の構造に転換していることが指摘された。
その上で、マルチテラリズムを守る重要な役割を担っているのはG7やG20であると主張。
リンゼイ氏に賛同して、アメリカ国内での働きだけに期待するのではなく、他の国々も努力が必要だとした。

トランプ大統領の誕生によって世界秩序に変化が起こるのか


安全保障に関して、楽観的な見通しを示す参加者がいる一方、「WTOの既存の通商秩序が壊れるのではないか」と深刻な懸念を示す声も聞かれる。
3月1日に提出された通商政策課題に関する年次報告書では、WTOのルールに従わないことが明言されており、秩序の破壊について将来を不安視する声が相次いだ。
トランプ大統領の資質を問う声もあり、新しい産業に関する理解不足が指摘されている。
トランプ大統領は不人気な大統領だが、全国的には40〜45%程度の支持率があり、共和党支持者の8割がトランプ大統領を支持している。
「共和党の支持が減れば、トランプ大統領も無視できなくなるだろう」との見方が示された。
また、増税・社会保証給付のカットを行わないとする政策については、赤字が増え続けることによって共和党だけでなくティーパーティーからの非難も集中することが予想される。

トランプ大統領登場による中国の利益


議論はトランプ政権の対極として中国の話題へと移った。
現在はアメリカ、中国のどちらにつくかというように選択肢が限られており、東南アジアの国々は地域的に近い中国に傾くしかない状態だ。
これが中国を利する原因になっているとの声や、米国に対する懸念が中国のメリットを大きくしているとの指摘が挙がった。
中国の弱点としては国民の政治制度への不信感、官僚機構の腐敗、政治の偏りが挙げられる。
今後は、米中二国間の役割を把握し、これらの弱点に対応していくことが重要になるだろう。
この他にも、欧州情勢や北朝鮮問題、金融政策に関する活発な意見交換が行われた。

東京会議初日の議論を通して


今回の基調報告・意見交換では、リベラルな秩序の未来を守るためにはアメリカ以外の国々の努力も必要だとする意見が一致するなど、各国間に共通の問題意識があることが分かった。
これは大きな成果であると言えるが、一方で、トランプ大統領誕生による将来の見通しに関しては意見が割れている。
トランプ大統領やアメリカ政府の動向には今後も注目が必要だ。
その上で今後も各国間で意見交換や議論を行い、各国が協力してグローバル化の課題解決に取り組むことが期待される。

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